デザイナーとアーティストらが飾る、都心の感性の街

ソウルのどこにでも並木道はたくさんあります。しかし、その中でも新沙洞・街路樹通り（カロスキル）が名所として注目されている理由は、単に木が生い茂った都心の散策路だからではなく、ここならではの独特な文化的趣向と芸術的な感性があるからです。
街路樹通りは江南（カンナム）の主な生活文化圏である新沙洞に位置し、地下鉄「新沙駅」付近から狎鴎亭（アックジョン）方向へ延びる街路樹通り沿いにイチョウ並木が1キロほど続きます。この街を埋め尽くすかわいいお店や特色ある街の雰囲気に惹かれて訪れる人が多く、秋には通り沿いのイチョウが黄色に染まり、なかなか趣き深いものがあります。
1980年代には画廊街として有名でしたが、1990年代にはデザイナーのファッションショップが多く建ち並ぶようになり、2000年代に入ってからはインテリアショップが増えて商店街を形成しました。現在、ここにはアーティストのオープンスタジオや各種工房をはじめ、カフェやギャラリー、レストラン、バー、ファッションマルチショップ、小物店などの多彩な空間がひしめき合っており、建物の一つ一つにセンスが光り個性があふれています。江南の有名な商業地域は華やかでモダンな感じですが、ここは古いながらも新鮮であり、洗練されていながらも情感のある独特な雰囲気をかもし出しています。ある人はニューヨークのソーホーに似ていると言い、またある人はヨーロッパのある路地をそっくり持って来たようだと表現したりもします。この街の独特な雰囲気が出来上がったのは2000年代の中頃からで、海外に留学して帰ってきた若いデザイナーやアーティスト、スタイリストなどが自ら運営する店が増えてきたからです。つまり新沙洞の街路樹通りは、韓国の新鋭デザイナーやアーティストのグローバルな感性と韓国的な情緒がバランス良く融合している場所なのです。街路樹通りは今、デートコースやフォトスポット、ドラマや映画の中のロケ地として脚光を浴びています。静かに散策したりお茶をしたりしながらのんびりショッピングを楽しむにはここがぴったりです。ただし、ソウル内にシンサドンという同じ地名が3ヶ所もあるので、タクシーで行くときには必ず「江南区新沙洞（カンナムグ・シンサドン）」と言ってください。