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承政院は朝鮮の定宗代に設立された機関として国家のすべての機密を扱った国王の秘書室ともいえる所で、1623年(仁祖1) 3月から1894年(高宗31) 6月まで272年もの間、承政院で処理した国政記録と承宣院、宮内府、秘書監、奎章閣と名称を変えながら1910年(隆熙4)まで全3,243冊の記録が残っています。
 
「承政院日記」は朝鮮王朝最大の機密記録であると同時に、史料的価値において朝鮮王朝の実録「日省録」「備邊司登録」とともに韓民族の歴史と文化を残す貴重な史料。
 
また世界記録遺産に登載された「朝鮮王朝実録」を編纂する際の基本資料としても利用されたため、実録というよりもむしろ価値ある史料として評価されているのはもちろん、原本が1部しかないため国宝第303号(1999.4.9)にも指定されています。
 
その内容は国政全般に渡る広範囲な記録で、啓稟、伝旨、請牌、請推、呈辞、上疏、宣諭、伝教などに関するもの。この本の記載方式を見ると、ひと月を基準に巻頭に月刊慶宴状況、内殿の動向を記録し、次に承政院の官吏及び党役員のリストと出勤状況を記録、最後には承政院の業務現況と王と内殿の問安、承政院の人事関係などの内容が記載されています。
 
「承政院日記」は日記式でひと月に1冊ずつ作成することを原則としていますが、時間が経つにつれ内容が多くなりひと月に2冊以上になるものもあります。朝鮮建国初期から改めて整理されていましたが朝鮮前期分は壬辰の乱などの戦火で大部分が消失してしまい、現在は3,243冊のみ。 これらは国史研究だけでなく、韓国の政治、経済、社会、外交、文化、軍事などあらゆる学問研究に必要不可欠な史料となっています。
 
その価値は中国の「中国25士」(3,386冊、約4,000万字)や、韓国の「朝鮮王朝実録」(888冊、5,400万字)より膨大な世界最大の連帯記録物(全3,243冊、2億4250万字)であることからもよく分かります。また「朝鮮王朝実録」が国王死後士官たちによって編集されたものなら「承政院日記」は当時の政治・経済・国防・社会・文化等に対する鮮やかな歴史をそのまま記録した朝鮮時代の貴重な史料であるといえるでしょう。
 
高宗31年甲午更張以後の内容は、日帝侵略時代による内政干渉期宮廷記録であり、朝鮮王(皇帝)の決済を要する事件とその他宮廷の秘話を記録しており、近代史研究の貴重な史料となっています。
 
また17世紀から20世紀初めまで300年間の事件に関し国文学の移り変わりの過程を知ることができる国文学の書籍としてもその価値が認められています。
また288年間毎日の天気情報が記録されており、60甲子と随時力暦法の日付けを共に表記していて歴史の基礎資料にもなっています。
 
また伝統的な儒教社会においてカトリックが民衆たちの間にどのように広まりこれに対し政府がいかに対応したかなどを詳しく知ることもできます。
 
ソウル大学の奎章閣に所蔵されている「承政院日記」の原本は保存のために公開していませんが、哲宗2年(1851)から純宗隆煕4年(1910)までの筆写本は「影印本承政院日記」(国史編纂委員会1961-1977刊行)と精神文化研究院でインターネットで公開しています。また今後の国史編纂委員会では影印本全体をデジタル化してインターネットで提供する予定です。
 
2001年9月 ユネスコ世界記録遺産登録