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パンソリ(唱劇)
パンソリとは物語を歌いながら語る韓国の伝統芸能の一種。歌い手と太鼓奏者の二人で演じられ、ひとつのパンソリを完唱するには4-5時間かかります。太鼓のシンプルなリズムと奏者の合いの手に乗せて歌い手が台詞や身振り手振りを交えながら表現豊かに物語を歌い語り、その表現方法と特徴ある旋律や唱法などが韓国を代表する伝統文化として、2003年にユネスコ世界文化遺産に指定されました。

パンソリは庶民の文化が発達し始めた朝鮮時代(1392-1910)中期に始まったとされますが、作品の正確な創作年代や作者などは明らかにされておらず、本来12あったパンソリも現在残っているのは春香歌や沈清など5つのみ。これはパンソリが口承されてきたものであり、パンソリ専門の歌い手によってのみ発展してきたためと考えられています。当時役者は社会的に身分が低かったため庶民の芸術として発祥しましたが、後の朝鮮時代末期には官僚層にも受け入れられ大きな発展を遂げました。

パンソリ－５つの物語－

• 春香歌（チュンヒャンガ）
小説『春香伝』をパンソリで語るもの。芸者の娘である成春香（ソン・チュンヒャン）と貴族の息子・李夢龍（イ・モンニョン）の愛の物語。5つのパンソリの中でも文学的、音楽的に最も芸術性が高いと評価されるもの。数ある名曲の中でも特に「愛歌（サランガ）」、「離別歌（イビョルガ）」、「獄中歌（オッチュンガ）」が有名です。

• 沈清歌（シムチョンガ）
小説『沈清伝』をベースにしたもの。親孝行の娘・沈清（シムチョン）が、盲目の父の目が見えるようにと船乗りに体を売りましたが、財物として海に捧げられてしまいます。しかし沈清の真心に感動した竜王が救い、また父親と再会するというストーリーです。

• フンブ歌
小説『フンブ伝』。裕福だけれども欲張りの兄・ノルブと貧しいけれども心の優しい弟・フンブの話。フンブがつばめの足を治しその恩返しとして金持ちになりますが、欲張りな兄は更に金持ちになろうとつばめの足をわざとへし折りそれを治しますが、その後災難を被るという内容。勧善懲悪の内容を強調した語り口が面白い作品です。

• 赤壁歌（チョッビョッカ）
『三国志』の一部をパンソリにしたもの。有名な曲には「三顧草廬（三顧の礼）」「赤壁の戦い」があります。

• 水宮歌（スグンガ）
小説「兎伝（トッキジョン）」。海に住む竜王が病気になり、薬として使うウサギの肝を手に入れるため陸地に上がったスッポンの話。スッポンはあらゆる知恵を絞ってウサギを竜宮に誘い込みますが、ウサギもそれに知恵で対抗。登場人物の言葉遊びや表現が面白い作品。